からくりブログ

株式会社からくり社員のブログです

Raspberry Pi 3 + μITRON その1

※当記事に記載されている個人の方のHPへのリンク及び成果物の使用については、事前に製作者のAZO様に許可を頂いております

今回からしばらく、μITRONについてやっていきたいと思います。
皆さんはμITRONをご存知でしょうか?
μITRONとは簡単に言うと、日本でよく使われている国産の組み込みOSです。
ARM CPUみたいに、製品そのものではなく仕様のみがある、といった感じです。

かつてのガラケーはほとんどOSはμITRONでしたし、家電などでもよく使われています。
携帯電話系はAndroidやiOSに代わりましたが、それ以外では現在も現役として使われています。
これからそういう業界で働く予定だったり興味のある方は、Raspberry Piを利用して事前に勉強をしてみてはいかがでしょうか。

μITRONを使用するメリットは、だいたい以下の通りかと思います。
1.小さい
2.シンプル
3.疑似マルチタスク
この中で「疑似マルチタスク」というのがありますが、一般的にパソコンなどで使われているOSは「プリエンプティブマルチタスク」と言われており、短い時間でOSがアプリケーションの実行権を取り上げ他のアプリケーションに実行権を与える、ということを高速に行っているのとは対象的に、アプリケーションが自ら実行権を手放すまでは他の処理に実行権が移らない、という方式のことを言います。
この方式のメリットは、OSに勝手に実行権を取り上げられないので、各タスクの動きを設計者が完全にコントロールできることにあります。
逆にデメリットは、実行権を持ったタスクが暴走してしまうと、システム全体の応答がなくなって再起動するしかないという点です。
個人的に、この疑似マルチタスクがμITRONを使うかどうかの判断基準の一つとして大きいのではないかと思います。
ただ他にも組み込みLinuxなどと比べるとデメリットがたくさんありまして、例えばEthernetやUSB、Bluetoothなどを使うにはプロトコル・スタックをどこかから調達するか自分で作らなくてはならない、などの問題があります。
ファイルシステムなども同様です。
そういったものを使用しないのであれば、大きな選択肢になるでしょう。

さて、では実際に動くOSはどうやって手に入れるのかと言いますと、以下の3パターンから選ぶことになるかと思います。
1.仕様が公開されているので、それを元に一から自分で作る
2.OSを作って販売している会社があるので、そこから買う
3.無料で公開されているものを使用する
私がこの業界で最初に携わった仕事では、ある会社の別の部署が仕様からOSを実装し、それを使用するという1番の方式を採用していました。
ただ、このブログでそれをやるにはまったく現実的ではないため3番を採用します。

「TOPPERSプロジェクト」の成果を利用します。
TOPPERSでRaspberry Piが動くのか気になりましたが、探したところ一発目に引っかかりました。
昨年11月に個人の方がポーティングしてくださったようです。
http://domisan.sakura.ne.jp/article/rp_toppers/rp_toppers.html

今回の記事ではRaspberry Pi上でサンプルが動作するところまでやる予定だったのですが、素のTOPPERSのビルドすらうまく行きませんでした…。
(AZO様の成果物を試すにすら至っておりません)
Linuxでビルドしているのですが、ビルドエラーが出ている状況です。
恥ずかしながらTOPPERSを使うのが初めてでして、次回までにはビルド環境を整えたいと思います。

One response to “Raspberry Pi 3 + μITRON その1”

  1. […] 前回はTOPPERSのビルドを行おうとして失敗してしまいましたので、その続きからです。 ※今回の作業はRaspberry Pi 3で行っています。おそらくRaspberry Pi 2でも同様の手順で大丈夫だと思いま […]

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